〈イロフシ〉デザイナーにインタビューしました
こんにちは。いつもイロフシのブログをご覧いただきありがとうございます。
今回はいつもご愛顧いただいている皆様に、よりイロフシのブランドを始めとする染め物の世界を知っていただくために、店頭スタッフがデザイナー(栁澤)に“染め“や“イロフシ“のこと、“何から着想を得ているか“についてインタビューしてみました。
____ まず、ブランドネーム「IROFUSI」の由来はなんでしょうか?
IROFUSIは日本の古語で“色節“と書きます。
意味合いとしては、一つはそのまま“色“として、水墨画のように色のない世界で色を表現するブランドという思いが込められています。もう一つは“めでたいこと“という意味合いがあるため、人生で特別な時に着られる一着を作りたいという願いからIROFUSIと名付けました。
____ では、特徴ある商品名もそのように決めているのですか?
商品の名前は古語辞典など片っ端から何度も読み込み、自分の感性に響いたものをメモに残しています。そして作りたい服の表現とメモに残した名前がリンクしたときに組み合わせています。
例として「雨晴」という水玉模様がありますが、それは雨が降った後の晴れ模様を指し、葉の上の水滴に陽の光が当たりぼやっと丸く光る柔らかい雰囲気を表現しています。
見た目はグレーと白の服ですが、背景には青空と手前には葉の緑があるようなイメージです。
ただ、IROFUSIの服は自然からインスピレーションを受け製作しているため、見た人それぞれがイメージする芸術であり、人それぞれの捉え方があって良いと思っています。
____ いよいよ本題に入っていきますが、普段はどのくらいのスタッフで染めや縫製などを行っていますか?
染め自体は自分(デザイナー・栁澤)と、アトリエマネージャーのみで行っています。
染めは研究と同じだと思っているため、再現性を持たせるためのやり方を毎日試行錯誤しています。ほとんど職人と弟子の世界です。その他、アイロンや仕上げ作業は数多くのスタッフが携わっています。
____ 一つの製品が出来上がるまでにかかる期間はどのくらいですか?
市販されている色の付いた生地を購入し縫製する製品などと比べると、染めや縫製もアトリエ内の少数で手作業していることが大半なため、通常より4〜5倍ほどの時間と手間を要します。
本来であればもう少し高値をつけたいところではありますが、愛着を持って長く製品とお付き合いただくために価格はなるべく抑えられるよう努力しています。
____ 天候や温度、湿度などは染める時に影響はあるのですか?
墨染は乾かすことで染まるので、雨の日には染めることが出来ません。
藍染も乾かしてから色判断をしもう一度染めるかどうかを判断しますが、染め自体は雨の日でも出来るため乾かす前段階までは行っています。
そして、藍液というものは生き物のようで綺麗に染めるためには25度以上であることが理想です。IROFUSIでは藍液をヒーターで温めたりなど工夫を施しています。
また、デザインによって濃く染めるのか薄く染めるのか、お客様の反応に合わせその時々で変化させています。
毎度ご好評をいただいている遊墨柄については、手袋で墨汁をつけ生地が液を弾く作用を利用し偶発的に染め上げるなど、染め方にもこだわって製作しています。
____ ここまで色々と聞いてきましたが、最後に皆様が楽しみにしてくださっている新作についてもお話を伺いたいと思います。新しい製品に着手する際はいつもどんなアイデアやインスピレーションを受け製作しますか?
冒頭にもあるように、基本的にIROFUSIでは自然からインスピレーションを受け製作をしています。
空、水、木、土、岩、それらが織りなす“偶発的な美“は人間が作り出す人工的なものでは叶わないため、IROFUSIのものづくりでは自分でコントロールせず、偶発的に染まる作用を使って“人工的に作る以上“の作品になるようにしています。新作の製作も行ってまいりますので楽しみにお待ちいただければ幸いです。
デザイナーとお客様を繋ぐ窓口として私たち店頭スタッフを、我々は“伝手“と呼んでいます。
IROFUSIの商品を通して大切な価値観やものの美しさについてを伝える役割を担い、ご愛顧いただいているお客様には日々良い刺激をもらっています。ありがとうございます。
このインタビューを機に、独創的で優美な染め物の世界に少しでも興味を持っていただけると幸いです。
スタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。